整理収納が人手不足対策の一手になる
こんにちは。整理収納コンサルティングstyle-R金田玲子です。
整理収納というと家庭、住まいでの必要性を感じる方も多いと思います。が、当然職場環境でも必須です。
「わかっているけれど毎日仕事が忙しくて」というお声もよく伺います。でも実は、まったなしの状況です。その理由の1つが、近年特に耳にする「人手不足・労働力不足」の現状と未来です。皆さんの職場では現在人手不足を感じられることがあるでしょうか。
帝国データバンクの調査によると、2023年7月時点で正社員の人手不足企業の割合は51.4%。特に人材不足が目立つ情報サービス業、また旅館・ホテル業では70%を超えています。1)
すでに人手不足の状況が見て取れますが、今後はどうなるのでしょうか。
今年発行されたリクルートワークス研究所のレポートによると、このまま何も対策をしないと、労働力は2030年に341万人不足。2040年には1100万人不足すると予測されています。2)
未来の労働力不足は深刻化の一途です。一方で、同レポート内ではそれに対する解決策例がいくつかあげられています。その中の1つが「企業内のムダ削減」です。
企業内のムダ削減は今すぐにできることで、取り組めば「生産性向上」に直結するため労働力不足対策につながります。その手段の1つが整理収納です。整理とは「不必要な物を取り除くこと」。例えば皆さんの職場でも取り除けそうなこんなムダ、ありませんか?チェックしてみましょう。
(1)いつも何かを探している
☑書類1枚が見つからない
☑キャビネットのファイルも探している
☑デスクトップのショートカットを探す
☑データ保存した場所が思い出せない
☑PC内でファイル名検索しても見つからない
☑共有備品を探すために担当者を探す
探し物をしている時間は、生産性はゼロです。仕事をしていないのと同じ。ムダな時間です。
・机上の書類やPC内不要データの整理
・共有ファイルや共有備品の定位置化やルール化
など、物の管理の改善を図ることで従業員一人一人の生産性は向上します。
(2)慣例を変えない
☑毎月、毎週、毎日どこかで行われる会議
いつもその時間必要でしょうか。時間短縮できる方法はないですか?全員参加しないとダメですか?メール通達で共有できないですか?そもそもその会議、本当に必要でしょうか。
☑形式的な資料作成
例年を踏襲して作成したその資料、今年もその分量必要でしょうか。情報を整理することで作成労力が削減できる上、本当に必要な情報はより届きやすくなります。
もちろん、「そもそもその資料作成が必要か」もチェックです。
(3)紙やハンコが手放せない
もちろん必要な場面もあります。一方で何でもかんでも出力していては紙の山です。参考資料程度であれば出力自体を止める。それだけで余計な管理労力は減ります。また、対外的なイベント案内は郵送ではなくメールで送る。これは受け取る側にとってもムダ削減につながります。(個人的にはこれを切に願っています)
また、PCで作成した書類にハンコを押すために出力する…その書類、本当にハンコも出力も必要でしょうか。コロナ禍がデジタル化の追い風ともなった今こそ、職場全体でこうした当たり前を改めて見直していけるといいですね。
モノもコトも今こそ見直し、整理=「不必要な物を取り除く」。そのためにも「取り除くべきムダを見つける」ことが第一歩です。
職場では、それを一人で考え取り組むのではなく、感じているムダについてまずは従業員間で意見を出し合ってみましょう。それだけでたくさんのムダが見つかります。全員で状況把握することで、見直すべき優先順位も話し合いやすく、解決へとつながりやすくなりますよ。
職場内の整理収納は、今後のさらなる人手不足対策の一手にもなりえる、組織にとって非常に重要な取り組みなのです。
【出典】
1) 株式会社帝国データバンク 「人手不足に対する企業の動向調査(2023 年 7 月)」2023年8月7日 https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p230804.pdf(参照2023年10月31日)
2) リクルートワークス研究所「未来予測2040 労働供給制約社会がやってくる」
2023年3月28日発行 (参照2023年10月31日)
https://www.works-i.com/research/works-report/item/forecast2040.pdf