通報者を保護する制度・公益通報保護法とは

こんにちは
社会保険労務士の澤瀬です。

インターネットの検索サイトをみると、少し前まではロシアや中国のニュース、こんな人がこんなつぶやきをしたという芸能ネタとか、そんな情報が並んでいたのですが、WBC(ワールドベースボールクラシック)以降は毎日大谷くんやWBCメンバーのニュースが並んでいます。
WBCが面白すぎて、ついついネットサーフィンをしてしまった結果、カテゴライズが変わってしまったようで、ビックデータがこんなところにも活用されていることがわかります。

さて、インターネットでは企業活動その他について様々なうわさや内部告発と思われる情報も目にすることがありますが、今回は公益性のある通報については通報者が保護される制度(公益通報保護法)についてご紹介したいと思います。

画像の説明

令和4年6月に公益通報保護法が改正となりました。
従来の労働者に加え、退職者や役員も通報者の対象となり、通報の手続き方法や範囲などの条件も拡大しています。
また、通報者は通報したことによる解雇無効や不利益取扱い禁止の他、通報に伴う損害賠償責任の免除などの保護を受けることとなります。

通報の対象となる刑事罰や行政罰の対象となる法律は約500本、元々労働法には労基法や均等法、育介休業法、パワハラ法(総合施策総合推進法)に相談や通報したことを理由として不利益取扱いしてはならないという規制はありましたが、これらも公益通報保護法により二重の保護を受けることとなります。

公益通報には、勤め先等の事業者に通報する内部通報と、行政機関や報道機関等に通報する外部通報があります。これに対し内部告発は、公益通報制度ができる前からあるもので、法的に保護されるかどうかはその内部告発が公益通報保護法の告発に合致するかどうかで定まることとなります。

ところで、最初の話題にあったSNS等のインターネットに書き込まれた通報は保護の対象になるのでしょうか。これについては消費者庁のQAに記載があり、多くは公益通報にならないとしつつも、一定の公益性の高い情報や商品の会員サイトへの書き込み等は公益通報になりうる場合もあるとしています。

いずれにしても、企業としても内部告発や外部通報で受けるダメージを考えると、内部通報で適正に情報を把握し自浄できるコンプライアンス体制づくりが重要です。従業員300人越の企業には内部通報に適切に対応するための体制の整備が同法律で義務付けられており、300人以下であっても努力義務となっております。

企業幹部が通報者に圧力をかけるという事態も耳にすることがありますが、通報者が企業から不利益な取り扱いを受けることとなれば、外部通報を誘引することにもなりかねないため、内部通報者に対して圧力をかけるとは絶対に避けるべきです。
通報窓口に寄せられる通報の中には、もしかすると個人的なトラブルや誹謗中傷もあるかもしれませんが、それらについてもコンプライアンス規程等に基づき適正に対応しましょう。

労基法違反やハラスメントに関する通報についても、きちんと耳を傾け、聞いてくれる体制が企業内にあれば、気心の知れない外部機関の人に通報しないで安全な内部通報を選ぶと思うのですけどね。さて皆様はどう思われますでしょうか。

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