「マルチジョブホルダー」 vol.36 澤瀬 典子

こんにちは!
社会保険労務士の澤瀬です。
コロナ禍の中、あまり注目されませんでしたが、今春の国会において「高年齢者雇用促進法」「雇用保険法」「年金改革法」など、働く人にとって重要な改正法が成立しています。
今回は、その中から「副業兼業」に関する情報をお伝えしたいと思います。

「マルチジョブフォルダー」という言葉をご存知でしょうか?
高齢者雇用が推進される中、経験を活かして複数の事業所に所属して働く方が増えるのではないかと言われています。
また、70歳雇用の努力義務化が2021年4月に施行、2022年1月には、65歳以上のマルチジョブホルダーの労働時間を合算して週20H以上になった場合、雇用保険を適用することとなります。

高齢者に限らず、ダブルワークについては国が推進していることもあり、副業兼業のガイドラインも9月に改定されました。難解な内容なので詳しい解説は避けますが、複数事業所の労働時間を合算して法定時間外を算出しなければいけないところは従来どおりです。
例えば、他事業所でフルタイム勤務している方をアルバイトで雇い入れる場合には、ほぼ全時間について割増賃金を上乗せして支払う必要があります。

また、36協定の罰則付きの上限規制(月100H未満、平均80H以内)も両社で上限を定めて合算で規制時間を超えないようコントロールする管理モデルが例示されています。 

本年9月から、労災通災による休業等の給付額について、複数事業所の給与を合算して算定することとなるなど、労働者保護の視点で歓迎すべき改正もありますが、合算して法定時間(1日8時間、週40時間)を超えると想定される副業兼業については、事業主の適切な労務管理が求められることになります。

 従業員から兼業副業の申出があった場合は、前述の労働時間管理の他、競業避止や機密保持についても検討したうえで、許可制とすることをお勧めします。

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